初めてウィッグを作ることになったとき、どのような素材を使用するかというのは誰もが悩むポイントでしょう。一般的な素材には大きく3つの種類がありますが、それぞれの素材によって特徴や値段などが異なります。
ここでは3種類の素材の違いについて詳しく説明しますので、自分にあった素材のウィッグを選ぶように心がけましょう。
人毛を使用したウィッグ
ウィッグの中でも値段や品質が高く、高級品と位置づけされるのが人毛を使ったウィッグです。100%の人毛を使用することにより見た自然な目や手触りを手に入れることができます。たとえば抗がん剤の副作用によって脱毛が進んでしまった人など、他人に自分がウィッグを使用していることを知られたくない場合にはおすすめの素材と言うことができるでしょう。
これまでの自分の髪の毛と同じようにお手入れができるのも人毛素材の良いところです。パーマやカラーリングでオシャレすることもできますし、ドライヤーで自由にセットすることもできます。ちょっとスタイリングが崩れたら水で濡らして修正することも可能です。
ただし、一口に人毛と言っても人種の違いによって特徴が異なるので注意が必要です。日本人はストレートでボリュームのある毛質を好みますが、このような毛質を持つのは日本人の他には中国人に多く見られます。人毛ウィッグの中でも比較的値段の安い東南アジアやインド人の毛はそれに比べると細く、くせ毛が混じることもあります。ただしパーマヘアがお好みであるならば、このような毛質は逆にメリットになるでしょう。
なお、高級な人毛ウィッグにはレミーヘアやバージンヘアと呼ばれるものがあります。通常、ウィッグの素材となる人毛は薬剤を使って消毒や染色を行いますが、この工程でキューティクルが剥がれ落ちてしまいます。レミーヘアはキューティクルを残しながら消毒や染色を行った人毛のことでツヤのある自然な髪の毛を再現することができます。
レミーヘアの中でも一度もパーマやカラーリングの経験がない髪の毛をバージンヘアと呼びます。レミーヘアやバージンヘアは最高級品とされ、その値段も高額になります。
では人毛ウィッグに欠点はあるのでしょうか。強いて言うならば、自分の髪と同様に紫外線に晒されれば、色が褪せてしまうことでしょう。しかし、人の髪の毛ですから個人差もあります。実際に購入する際には実物をしっかりと確認することが大切になるでしょう。
人工毛を使用したウィッグ
一部の医療用ウィッグや多くのファッションウィッグに使われているのが、化学繊維を用いた人工毛です。人毛ウィッグに比べると値段が安く、誰でも手軽に購入することができます。使用される化学繊維には4つの種類があります。
「アクリル製繊維」は人毛に似た外観と柔らかい触感が特徴で、ウィッグだけでなくエクステなどに使われることが多い素材です。
「PVC(塩化ビニル繊維)」も人毛に似た外観と柔らかい触感を持ち、ポニーテールスタイルやストレートスタイルにおすすめの素材です。ただし耐熱性に劣るためドライヤーなどによって傷んでしまうことがあります。
「ポリエステル繊維」はとクシ通りの良さとカールの保持性に優れています。塩化ビニル繊維と違って耐熱温度が180度と高いため、電気アイロンを使ったヘアアレンジも可能です。
「コラーゲンタンパク繊維」はコラーゲンタンパクを原料とする最新の素材で、雨や洗髪などで髪の毛が濡れたときでも天然の毛髪と同じような風合いを表現できます。また、石油製品を使わないことで安全性にも優れているのも特徴です。
このように、以前は値段は安いけれど品質はあまりと良くないとされてきた人工毛ウィッグですが、現在では技術の進歩もあって見た目や手触りも天然のものに近づいてきています。濡れてもすぐに乾く、形状記憶によりスタイリングが長持ちするなど便利な点も多く、コスパの面では人毛ウィッグを凌ぐとも言われています。
パーマやカラーリングはできませんが、値段が安いのでさまざまなバリエーションを揃えることでさまざまなスタイルを楽しむことができるのもうれしいポイントです。
人毛と人工毛のミックス
ウィッグには人毛と人工毛をミックスして作られた製品もあります。値段は高いけれど自然な髪の毛の流れを再現できる人毛と、コスパの良さとスタイリングのしやすさが特徴の人工毛、両者のいいとこ取りをしたウィッグです。両者をミックスさせることでさまざまな毛質を再現できるようになりますので、スタイルに応じて柔軟なウィッグを比較的安い値段で作成することができるのは大きなメリットでしょう。
ただし、性質の異なる素材を一緒に使用することによるデメリットもあります。その一つが色あせです。人工毛は色あせがほとんどありませんが、人毛は紫外線などによって徐々に色あせが進むため、時間の経過とともに色ムラが目立つようになります。また、人毛部分と人工毛の部分でそれぞれに必要なケアが違うため、メンテナンスに手間がかかるのも欠点と言えるでしょう。
まとめ
ウィッグはどれでも同じかと思いますが、実は毛質によって異なる特徴を持っています。人毛と人工毛、人毛と人工毛のミックスがありますので、コスパやスタイリングなど、さまざまな面から考えて、自分の理想のウィッグを手に入れてください。